Ambitiouser 企業分析コミュニティ

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オイシックス・ラ大地株式会社【3128】

今回は、オイシックス・ラ・大地(以下オイシックス)について企業分析をしていきます。
まずは、企業の概要からです。

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次に、オイシックス事業内容、経営戦略等を見ていきます。最初に事業内容です。オイシックスは主に、食品の定期宅配型ECサービスをメインに扱っている企業であります。この「EC」とは、電子的な手段を用いて行う、電子商取引(Electronic-Commerce)のことです。野菜や日用品、肉、魚、水等を扱っています。そして、定期宅配型以外にも、海外向け事業やアライアンス事業などのその他の事業も展開しています。そして次に、このEC市場について見ていきます。このEC市場も年々大きくなっており、2018年の経済産業省の発表によれば、全世界のB to CのEC市場規模の予測推計値は約308兆円の規模であるとされ、2021年に二桁成長を続ける見込みであるとされています。そして、オイシックスは「大地を守る会」と経営統合しています。「大地を守る会」は設立から40年にわたり、薬や化学肥料を極力使わない野菜や添加物不使用の加工品を提供しています。これにより、オイシックスは新鮮で高価格帯の野菜の提供を可能にしています。また、将来的にも市場規模の拡大が予測されるECに、食品という私たちにとって必要不可欠なものの販売を掛け合わせているという点から、事業内容の面で見ても需要が途切れることは考えにくく、比較的安定して収益を出せると期待出来ます。しかし、他社との競合が多く、どのように他社との差異を出すのかという点が懸念されますが、このオイシックスの場合は、そういった面もしっかりと考えられています。オイシックスは、前述の有機無添加の高単価帯の商材を扱うことに加えて、1000以上の取引先があります。このように、他社との競合においても、オイシックスは明確な強みを持っています。
次に、財務状態を見ていきます。

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売上総利益と営業利益は上昇傾向にあります。おそらくこれは、「大地を守る会」や「らでぃしゅぼ-や」と経営統合、吸収合併したのも一つの要因かと思われます。しかし、販管費もこの三年間で二倍近く上昇しており、当期純利益に関しては、減少傾向にあり2018年に関しては半分以下になってしまいます。というのも、前述の販管費の上昇に加え、ここには記載しておりませんが、売上原価が約二倍に膨れ上がったことにより、売上総利益や営業利益が上がったにも関わらず、純利益が振るわなかった要因の一つであると考えられます。
(単位:百万円)
次に、貸借対照表です。

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全体的に右肩上がりの傾向が読み取れます。特に2016年から2017年にかけての上昇の幅がかなり大きいことがわかります。これは、2016年に「大地を守る会」と経営統合をした影響が大きいと考えられます。
最後にキャッシュフロー計算書です。

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営業CFは2017年度から2018年度の動きに注目したいところです。2018年度の初頭にらでぃっしゅぼーや経営統合し、新たな顧客を多数獲得しました。その影響で、これほどの大きな増加がみられると考えられます。フリーCFも前年と比較すると大幅に増えています。しかし、財務CFが正の値になっていることが気になります。ですが、今まで述べた通り、オイシックスの本業の業績や経営統合による新規顧客基盤の獲得により、好調であるといえます。その上での正の値ですので、おそらくさらなる事業拡大のために資金の調達をしていると考えられます。その新規事業が将来どうなるか、非常に気になるところであります。

最後に、オイシックス成長性分析をしていきたいと思います。

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このように合併した2018年が目立った数値を出しています。前述の販管費の上昇の点からも、収益面での問題はないと考えられますが、おそらく品質管理や従業員再編、人手不足などの課題を抱えている可能性が考えられます。懸念すべき点としては、大手の企業もこのEC業界の競合に参入し始めており、いかにそういった企業と差をつけるかということ。経営統合や合併が続き、今後どう社内を安定させるかであると思います。このような懸念点も少々ありますが、強固な顧客基盤を持っているため倒産などはないと考えられます。この2019年でどれだけ内部での各課題を解決し、新体制のオイシックス・ラ・大地として、どういった動きを見せるか、目が離せません。

 

参考:オイシックス・ラ大地株式会社HP